重力ってなんだろう ― 量子束縛系を用いた等価原理の検証と古典極限への遷移
重力は、私たちが日常で最もよく経験する力です。しかし、素粒子物理学の視点から見ると非常に風変わりで、それゆえに私たちを惹きつける力とも言えます。
本講演では、まず重力の魅力とその特徴を整理します。そのうえで、一般相対論が基礎に置く慣性質量と重力質量の等価性(等価原理)を、量子論の枠組みで実験的に検証する試みを紹介します。
実験には、冷やした中性子を重力場中で量子論的に束縛した系を用います。この量子束縛系の時間発展を計測することで、量子系における慣性質量と重力質量の比を評価します。また、量子系から古典系へ遷移する様子を観測し、量子化という手続きの意味を理解する手掛かりを探ります。そのために開発している中性子イメージングセンサーと、米国ロスアラモス国立研究所(LANL)やスイス・ポール・シェラー研究所(PSI)での実験の現状についても報告します。