X線で見る宇宙:天体の激しい活動を探る
宇宙には、恒星風、超新星残骸、銀河団、ブラックホール周辺など、X線を放射するさまざまな天体・天体現象が存在します。X線は高温・高エネルギーな宇宙プラズマを探る重要な観測手段であり、そのスペクトルからプラズマの温度、元素組成、電離状態、速度構造などを調べることができます。本講演では、X線天文学の基礎とX線分光の手法を概観するとともに、高分解能X線分光が可能な天文衛星について紹介します。
さらに、2つの大質量星が互いの周りを回る連星系を例に、高分解能X線分光によって何が明らかになるのかを紹介します。大質量星連星では、両星から吹き出す恒星風同士が衝突することで、数千万Kに達する高温プラズマが形成されます。この衝突領域から放射されるX線を詳しく調べることで、衝突恒星風プラズマの温度や元素組成、電離状態、速度構造を探ることができます。最後に、X線天文衛星XRISMによる観測結果を紹介し、高分解能X線分光が大質量星の周辺で起こる物理現象を理解する上でどのような情報をもたらすのかを紹介します。