学位論文

Theses

研究室で書かれた卒業論文・修士論文のうち、著者の了解を得て公開しているものです。
掲載順は卒業・修了の年月順です。

2026 年 3 月

卒業論文2026年8月29日

BIC を用いた Dry-spell 分布の二重スロープ構造の検出

中野 多瑛(指導教員: 尾田 欣也)

降水と降水の間の「無降水期間 (Dry-spell)」の分布は、従来ひとつのべき乗則で近似されてきました。 本研究は、分布の傾きが特定の時間スケール τ* を境に変わる「二重スロープ」構造を、 ベイズ情報量基準 (BIC) によって客観的に検出するアルゴリズムを構築したものです。 中部地方 4 地点 (岐阜・長野・富山・尾鷲) の 1980 年 6・8・12 月のアメダス 1 時間降水量に適用した結果、 夏の対流性降雨と冬の日本海側の季節風降雪で統計的に極めて有意な二重スロープが検出され (最大 ΔBIC = 79.2、富山 12 月)、折れ点 τ* が「同一降水システム内の小休止」と 「総観規模の晴天」を分ける定量的な指標として機能することが示されました。 単年の代表月を対象とした事例的・予察的な研究です。

  • 無降水期間
  • べき乗則
  • 二重スロープ
  • ベイズ情報量基準
  • アメダス

卒業後に加筆改訂した 2026 年 8 月 29 日版です。

2023 年 3 月

三谷 日姫
修士論文2023年8月7日

ニュートリノ振動における波束効果

三谷 日姫(指導教員: 尾田 欣也)

ニュートリノ振動の波束効果に焦点を当て、量子デコヒーレンス (量子もつれの解消) を調べた研究です。 ニュートリノの生成と検出に関わる二乗波束幅は、デコヒーレンス長と波束の伝搬を支配する局在化因子では 加法的に現れるのに対し、運動量保存因子では換算的 (逆数の和の逆数) に現れることを示しました。 また、遷移確率の全体的な規格化が、この換算的なものと加法的なものの比で決まることを導いています。

  • ニュートリノ振動
  • 波束

掲載: 素粒子論研究・電子版 Vol. 41 (2023) No. 1

2021 年 3 月

卒業論文2020年12月17日

SK-Gd (スーパーカミオカンデ-ガドリニウム) 実験について

三谷 日姫(指導教員: 林 青司)

スーパーカミオカンデの超純水に硫酸ガドリニウムを溶解させ、ニュートリノ反応で生じる中性子の 捕獲率を約 90 % まで高める SK-Gd プロジェクトについてまとめた論文です。 逆ベータ崩壊で生じる陽電子と、Gd の中性子捕獲によって放出されるガンマ線との遅延同時計測により、 電子ニュートリノと反電子ニュートリノの識別が強化されます。 この識別強化が、世界初となる超新星背景ニュートリノの観測や、 銀河系内で超新星爆発が起きたときの方向決定精度の向上にどう結びつくかを、 検出器の構造と物理背景から整理しました。

  • スーパーカミオカンデ
  • ガドリニウム
  • 超新星背景ニュートリノ
  • 中性子タグ